株式会社の設立方法には、①発起設立と②募集設立があります。実務上は、発起設立による手続きがほとんどです。

発起設立による株式会社設立の流れ

発起設立による株式会社設立のおおまかな流れは次のとおりです。ケースによっては、他の手続が増えることもあります。

  1. 会社の基本事項の決定(商号、目的、資本金など)
  2. 発起人による定款の作成
  3. 公証人による定款の認証
  4. 出資の履行
  5. 設立時役員の選任
  6. 設立時取締役・設立時監査役による設立事項の調査
  7. 株式会社登記申請

1.基本事項の決定

商号

商号は会社の名前のことで、商号中に「株式会社」の文字を使用しなければなりません。

商号は自由に決められますが、他人がすでに登記している商号と同一の所在場所において同一の商号を登記することはできません。また、不正の目的をもって他の会社と誤認される恐れのある商号を使用することはできません。

平成14年の商業登記規則等の改正により、商号の登記について、それまでできなかったローマ字その他の符号を用いることができるようになりました。

商号の登記に用いることができる符号

  1. ローマ字(大文字及び小文字)
  2. アラビヤ数字
  3. 「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)

3.の符号は,字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。
※なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。

目的

目的とは、会社が行う事業の内容のことです。また、会社は、登記した目的以外の事業を行うことはできません。

以前は、会社の目的には、「営利性、適法性、具体性、明確性」が求められていましたが、現在「具体性」は求められなくなりました。しかし、取引先が見たときに何をしている会社かわかる程度に具体的な内容にしておく必要はあるでしょう。

目的を決めるときは次の事項に注意して決めましょう。

営利性

会社は営利を目的とした法人ですから、目的には営利性がなければなりません。「政治献金」などといった目的は営利性がないため認められません。

適法性

違法な事業を目的とすることは当然できません。また、弁護士や司法書士など資格者が独占的に行うことができる業務も登記することはできません。

明確性

誰が見ても理解できる文言でなければなりません。

このほか許認可事業(建設業、風俗営業、派遣業等)を行う予定がある場合、どのように目的を記載すればいいか事前に行政庁に確認しておくとよいでしょう。

本店の所在地

定款には、本店の所在地を記載する必要があります。定款に記載する場合は、「群馬県高崎市」などと最小行政区画まで記載すればよく、「群馬県高崎市〇〇町1番地」などと所在場所まで記載する必要はありません。ただし、定款に所在場所まで記載しない場合、設立登記までに発起人が決めることになります。

機関設計

機関設計とは、会社にどのような役員を置くかということです。機関設計は多くのパターンが考えられますが、次のようなケースが多いのではないでしょうか?

  • 取締役1名から複数名
  • 取締役+監査役
  • 取締役会設置会社(取締役は最低3名必要です)

その他

上記のほか、資本金の額や発行可能株式総数、事業年度などを決める必要があります。

定款の作成

定款は、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場にいる公証人に認証してもらう必要があります。

定款には絶対的記載事項といって必ず記載しなければならない事項があります。絶対的記載事項は次の5つです。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

公証人による定款認証

定款を作成したら、公証人に定款の認証をしてもらいます。公証人は、全国に約300箇所ある公証役場にいる公務員で、遺言書作成や定款認証などの公証事務を担っています。

定款は、紙で作成する場合と電子定款を作成する場合があります。紙の定款の場合、4万円の印紙を添付しなければならないため、印紙の添付が不要の電子定款を作成したほうがお得です。

資本金の振り込み(出資の履行)

公証人による定款の認証が完了したら、発起人の銀行口座に資本金を振り込みます。資本金を振り込んだ通帳をコピーして払い込み証明書を作成します。コピーする通帳のページは、口座名義人が判明する部分と資本金を振り込んだことがわかるページです。振り込まれた箇所がわかるように振込に関する部分にマーカーを引きます。

発起人の決定

定款に、次の事項を定めていない場合は、発起人の同意によって決定する必要があります。

  1. 発起人が割当を受ける設立時発行株式の数
  2. 設立時発行株式と引き換えに払い込む金銭の額
  3. 資本金の額
  4. 設立時取締役・設立時代表取締役等の役員
  5. 本店所在場所

株式会社設立登記申請

以上の手続が完了し必要な書類を作成したら、株式会社の設立登記申請をします。登記申請日が株式会社の設立日となります。登記の申請先は、本店所在地を管轄する法務局です。登記申請をしてから10日から2週間程度で登記が完了します。

株式会社設立費用

登録免許税 資本金の額の1000分の7の額です。ただし,この額が15万円に満たない場合は、15万円
定款認証手数料 約52,000円
設立後の登記事項証明書等実費 約2,000円
司法書士報酬100,000円(税別)
合計314,000円(登録免許税15万円として計算しています)

登録免許税の計算方法

資本金3,000,000万円の場合、3,000,000万円×0.7%=21,000円となり15万円に満たないため登録免許税は、15万円となります。

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